ナチスの科学力はァァァァァァァアアア世界一ィィィイイイイ
フフフフ・・・・ごきげんよう。私はシュトロハイム少佐だ。
今日は諸君にわが第三帝国が世界に誇る最強戦艦、ビスマルクをご紹介しよう。









戦艦ビスマルク











こんにちは。私はシャーリーです。今日は皆さんにおいしいアップルパイの作り方をご紹介しましょう。










アップルパイ






コラアアアアアアアアア!!そこのメイド!私の講義の邪魔をするなアアアアアアア
おいしいアップルパイを作るうえでとても重要なポイントは焼き方です。
生地をしっとりさくさくに焼くためには焼き時間に気を配らなければなりません。
だからここはビスマルクを語るコーナーだアアアアアア!!
料理の事など誰も聞いとらんわバカモオオオオオオン
仕方がありませんね・・・では料理がいやなら裁縫の仕方を・・・・・
うぬう・・・・・卑劣なジョンブルめ。意地でも私を妨害するつもりだな・・・・・
・・・・何をやっているんですか?あなたたちは。
見てのとおりだ!このコンテンツではこの私が直々にドイツ海軍の栄光である戦艦ビスマルクの生涯を読者に知らしめておる!
それは間違いです。ここは私がメイドの心得を読者の皆様にご説明するコンテンツです。
そんなわけないだろがアアアアアアアアアアアア!!!どっかほか行けエエエエエエエエエエエ!!
私はアップルパイの話の方が聞きたいです。
じゃあそうしましょう。
大体ここは旧日本軍の兵器を語るコーナーなんですけどね・・・・・・・・まあいいです。
私はドイツの兵器に余り詳しくないので今回は勝手にやってください
フフフフフ・・・・話がわかるではないか。ヤパーニッシェス・プリンツェッシン。では話を元に戻そう。
・・・・・
ビスマルク級戦艦はドイツが過酷なベルサイユ条約を破棄した1934年に設計が始められ、1939年2月14日に進水、1940年8月に就役した、当時世界最大の戦艦だった。その排水量は50900トン。ビスマルクは連合軍の新造戦艦群に対しても圧倒的な強さを誇ったドイツ海軍の栄光なのだ!
ビスマルクの戦艦としての最大の特徴は、その堅牢な防御力の高さにある。装甲にはクルップ社が開発した、ニッケル・クロム・モリブデン鋼『ヴォタン』を使用し、その防御重量の割合は40%!もちろん全周防御だ。この割合の高さは列強新戦艦の中では世界一だった!
その推進方式は、ドイツ戦艦の伝統である3軸推進で、主機はブローム&フォス社製のタービンを搭載し、公試時に150,170ph、30.1ノットを記録しており、高速戦艦の名にふさわしい航行性能を見せている!
あら、15万馬力って日本の戦艦大和と同じくらいですね。
主砲の口径は当時の新鋭戦艦の標準だった、38cmの連装砲で砲塔は前後に2門ずつだ。
ドイツの世界一の光学技術を投入して作った光学式射撃管制装置は正確無比の命中率を誇った!
おお・・・・それにしてもなんと重厚で美しい戦艦なんだ・・・・・ビスマルクは
まあ第一次大戦の設計技術の戦艦で大喜びのクラウツはなんて幸せな人たちなんでしょうね。
よけいなことを言うなアアアアアアアアア!!
第一次大戦の技術って何の事です?
私が詳しくビスマルクの設計技術の水準についてご説明してさしあげましょう。
ビスマルク級戦艦の設計は基本的に第1次世界大戦中のバイエルン級戦艦をタイプシップとして進められました。
とくにその防御関係に如実に表れています。
なにせビスマルクの燃料槽による防御区画は1層で、これは間違いなく石炭庫が元になっているんです。
また甲板防御が弱いというのも問題です。これは近代海戦の遠距離戦における大仰角命中弾を余り考慮していない証拠です。
つまりドイツのビスマルク級戦艦というのは、第一次大戦の時代の前近代的な設計を手直ししただけのダメダメ戦艦だったのですよ。
第一次大戦の設計って言うなァァァァアア!!
もとはといえば全部連合軍によるベルサイユ体制のせいなんだ!
また世迷いごとを・・・
・・・・ドイツの第二次世界大戦における戦艦の設計に関してはベルサイユ体制抜きには語ることができない。
みなもご存知の通り、第一次大戦終結後のベルサイユ条約はドイツに対して尋常では考えられないほど過酷な制裁を課すものだった!ドイツが支払うべきとされた莫大な賠償金は1320億金マルク、大幅な領土喪失に加えて陸海軍の大幅な制限戦車・航空機・潜水艦の保有全面禁止、そして極めつけは排水量1万トン以上の艦艇建造禁止、事実上の戦艦の建造禁止だ!なんと嘆かわしい・・・・世界一の軍事力を誇ったドイツ第二帝国はいまやヨーロッパのどんな国に攻められても負けてしまいそうなぐらいの弱小国家になりはててしまったのだ!!
つーかそれだけやられて不死鳥のごとく復活したドイツの方がベルサイユ体制よりもよほど異常なような気が・・・・・
フハハ!それこそがドイツ魂というものなのだ。我が民族の歴史を振り返ってみれば、30年戦争で国内の人口の三分の一が消滅し、第一次大戦でベルサイユ体制、そして第二次大戦の破滅を乗り越えドイツは何度でもよみがえった!そう何度でも!
世界に冠たるゥゥゥゥゥドイツ民族はァァァァアア不滅なのだァァァァアアアアアアア!!!
っていうか万年負け組みのくせに一体いつになったらくたばるんでしょうね?
だまらっしゃい!
一回負けただけで軍備を放棄するとか妄言を吐くどっかの島国の人にも、ヨーロッパ人のしぶとさを少しは見習ってもらいたいものですね。
とにかく今回もこれだけやりたいほうだいされて従順なままでいたドイツではなかった。
我が国は秘密裏に兵器の開発に着手し、ヒトラー総統が再軍備宣言を行うまでに基本的な下地は出来上がりつつあったのだ。
でも一体どうやったんですか?下手に周辺国にバレれば、またルール工業地帯の軍事占領みたいにひどいことされるんじゃ?
フ・・・・・・そのことに関しては色々苦労させられた。ここに少し例を挙げてみよう。たとえば全面保有を禁じられた戦車だが、新生ドイツ初の戦車であるT号戦車は農業用トラクターの名目で新規に開発された。






農業用トラクター?









航空機も保有を認められていなかったが、競技用グライダーの名目で開発は継続された!
また爆撃機は連絡機として白昼堂々とドイツの空を舞い、戦争が始まるや否や旅客機は輸送機となった。







連絡機?





旅客機?










しかし、こればかりはどうしようも無かったという兵器開発があった!戦艦や空母などを中心とした艦艇だ。
ベルサイユ体制の排水量1万トン以下の制限のもとでは巡洋艦程度の戦艦しかどうあがいても建造できないではないか!この問題にも一応ドイツはその科学力を持ってして解決しようと努力はした。
その一例は重量削減のために、すべて電気溶接で接合した装甲艦という艦種を生み出したことだ。
いわゆる他国がポケット戦艦とか名づけたドイチュラント級だ。





ドイチュラント級装甲艦 アドミラル・グラーフ・シュペー








事実上の戦艦建造禁止だった排水量1万トン制限の中で出現したこの艦種に世界は度肝を抜かれた!
ドイチュラント級は巡洋艦となら砲撃戦に余裕で勝つ事のできる28cm砲6門を搭載し、多くの戦艦が追いつく事のできない速力28ノットの高速で航行できた、まさに通商破壊に最適な艦艇だというわけだ!
しかし如何せん・・・・しょせん小手先の努力にすぎず、高々排水量1万数千トントンの船体では他国の新造戦艦とまともにやり合うことはできない。総統閣下がベルサイユ条約を破棄した時点でちゃんとした戦艦の建造が求められたが、ここにきて悲劇が起こった。
過酷なベルサイユ体制の重圧のもとで戦艦の建造技術が失われてしまったのだ。
ベルサイユ体制15年の間のブランクは伊達ではない。世界に冠たるドイツ高海艦隊を作り上げた設計人は既に無く、経験の浅い若手士官が必要性に迫られて先人の遺産をどうにか使えるように手直しするしか方法が無かったのだ・・・・・・
そういう経緯があったわけで、ビスマルクの設計思想は新しいか?と問われれば確かに古いと答えざる終えないだろう・・・・・・・・

しかァァァァァァァァアアアアしッッ!!
ビスマルクは最強戦艦であることに変わりはないィィィィィィィィィィイイイイイイイ!!!なぜなら主機・照準機・防弾鋼板・砲やレーダーはすべて第三帝国の世界一の技術を投入して作ってあるからだ!船体のハンデを補って十二分の余裕があるのだ!それは実戦の戦果を見てみれば一目瞭然である!
ふん・・・・はたしてそうかしら













ライン演習作戦



フフフフ・・・・・1941年5月、かつてドイツ海軍を縛り続けたくびきが今解かれた!作戦名ライン演習の発動だ。
この航海の目的は、今までやりたくてもできなかった大西洋における戦艦による通商破壊作戦の実行だッ。
今までにも第一回目のイギリス商船狩りに出かけたポケット戦艦シェアーが11万3300トン、巡洋戦艦グナイゼナウとシャルンホルストが共同で11万5600トンの戦果をあげていたから、このときのビスマルクに対する期待も大きかった!
作戦艦は戦艦ビスマルク重巡洋艦プリンツ・オイゲンの2隻!当初は巡洋戦艦のグナイゼナウとシャルンホルストも参加する予定だったが、作戦前にシャルンホルストは機関故障の修理でブレストに留まり、またグナイゼナウはブレストで英雷撃機の攻撃を受け推進軸が損傷、修理のため参加が不可能となって―――――
――――しまったことはビスマルクの前途に垂れ込む暗雲を象徴していたといえるでしょう。
余計な事は言うなアアアアアアア!






ヒッパー級重巡洋艦 プリンツ・オイゲン






プリンツ・オイゲンから見たビスマルク バルチック海にて




5月13日、ビスマルクとプリンツ・オイゲンの2隻はポーランドのグディニア軍港を出航するが、確かにここで一つビスマルクの先行きに対して不安な要素が全く無かったというわけではない。ビスマルクにとって、この航海は初の実戦に当たるのだ。つまりはぶっつけ本番で錬度が明らかに高かったとはいいがたかった。
何でです?竣工から5月まで何やってたんですか
冬のバルト海は艦船が破損するほど寒いのだ。
とても洋上訓練どころではなかったというわけだ。
それに・・・・大きな声ではいえないが、訓練体系もしっかりできているとはいえなかった。
戦争自体が早すぎたのだ・・・・・・起こってしまったものはしかたがないが。
さて、一方イギリス側ですが、もちろんこの大西洋に向かおうとする巨大戦艦の跳梁を黙って見ているつもりはありません。
イギリスはいち早く、この戦艦の出航の情報をスパイ網から嗅ぎつけ、ロイヤルネイヴィはすぐさまその対策に乗り出しました。
だからスウェーデン海軍の航空巡洋艦ゴットランドが暗闇の中で自国領海内を北上する、「とてつもなく巨大な謎の艦艇」の存在を通報してきたときにも落ち着いて偵察機を飛ばし、ノルウェーのベルゲン湾付近の空中写真を撮影してビスマルクの姿を確認しました。これがそのときの写真です。ビスマルクがばっちり写っています。





このあと、再びビスマルクは消息をくらましますが、ロイヤルネイヴィはすぐさま、この方面にいる艦艇の大部分に出動を命じました。
巡洋戦艦のフッド
戦艦プリンスオブウェールズは6隻の駆逐艦を連れ、21日にスカパフローを出航、空母ヴィクトリアス巡洋戦艦レパルスと同行すべく、付近にいた訓練不足のソードフィッシュ雷撃機1隊とフルマー戦闘機2隊をいそいで積載します。
このとき残ったキングジョージ五世は1日遅れて追撃に出発します。
本国艦隊に属する他の戦艦3隻は、北大西洋の船団護衛中という都合の悪い状態でした。
フフフフ・・・役者がそろってきたな・・・・やれるものならビスマルクを止めてみるがよい。
このとき、チャーチル首相は当時中立国だったアメリカに対しても協力を呼びかけるため、ルーズベルト大統領に向けて次のような内容の電報を送っています。




英首相ウィンストン・チャーチル、米大統領フランクリン・D・ルーズベルトに向けて

昨日21日、ビスマルク、プリンツ・オイゲンと8隻の商船はベルゲンに停泊していたが、低く垂れ込めた雲のため我々は航空攻撃を断念した。それが今夜、ついに彼らが出航したのが目撃された。恐るべき大西洋の襲撃作戦が発動されたのは疑いないだろう。もし我々が彼らを阻止するのに失敗して、外洋に行かせるようなことがあれば今度はあなた方の海軍が対処しなければならなくなる。現在、キングジョージ5世、プリンスオブウェールズ、フッド、レパルス、空母ヴィクトリアスが補助艦艇をともなって追撃任務についている。情報の提供をお願いしたい。そうすればあとは我々がかたをつける。




一方22日、ビスマルクはノルウェーのフィヨルドを通過して、グリーンランドとアイスランドの間、俗にデンマーク海峡と呼ばれる海域にたどり着いていた。このころ、いままで護衛についていた3隻の護衛駆逐艦は、トロントハイムに向けて引き返している。
この極寒の地での天候は最悪と言ってよかった。雲量が多く、辺りは霧が濃かったため、ビスマルクとプリンツオイゲンはサーチライトを使って、はぐれないように気をつけながらさらに大西洋へと向けて前進していった。




手前はプリンツ・オイゲン





日付は変わって23日、天候はあいも変わらず酷いまま。2隻のドイツ艦艇はグリーンランドの氷山群に到達したため、進路を多少南に向けた。ちょうどその時だ。ビスマルクから距離7マイルの地点に英巡洋艦が出現したのは!
このときビスマルクを発見したのはイギリス重巡洋艦サフォークです。敵艦までの距離は1万3000メートル。
サフォークはすぐさま、司令部へ向けて敵戦艦1、重巡洋艦1を発見した旨を伝達しました。





ケント級重巡洋艦サフォーク





サフォークはすぐにビスマルクとの距離をとりました。ビスマルクの38cm砲の射程は3万6000メートルもありますからね。
これ以後、サフォークは延々10時間にもわたってレーダーによる追跡を開始し、敵の位置や速力、方向などを絶え間なく本部に伝達し続けます。・・・・が、器具の故障などや、本部の不手際などでこのビスマルク発見の第一報はうまく伝わらなかったようです。
サフォークが追跡を開始して1時間後、今度はイギリス重巡洋艦ノーフォークもビスマルクを発見、追跡に移りました。





重巡洋艦ノーフォーク




このとき、ノーフォークはビスマルクを発見した興奮から、つい9600メートルの距離にまで接近してしまい、ビスマルクはここにきて初めて、後部砲塔からノーフォークにむけて邪魔者を追い払うかのように発砲しました。5斉射ほど敵は撃ってきましたが、そのうち3斉射がノーフォークを夾叉したため、ノーフォークは煙幕を張って、再び一定の距離からビスマルクを追跡を開始します。
そのころ、やっとイギリス艦隊はノーフォークの無電から、ビスマルクの正確な位置を認識しました。
一夜過ぎて24日の朝、天候は多少改善され、視認性もずいぶん良くなっていた。ビスマルクとプリンツ・オイゲンの2隻は依然としてコースを変えず、28ノットの速度で航行していた。しかし、5時25分にさしかかったその時だ。プリンツ・オイゲンの水中聴音機は我々を追跡中の英巡洋艦とは別の艦船のスクリュー音を探知した!
2隻の不明艦はビスマルクの捕捉に成功したイギリスの巡洋戦艦フッドと新鋭の戦艦プリンスオブウェールズでした。ここにおいて大西洋に抜けようとするビスマルクたちとそれを阻止しようとする英艦との間で海戦が勃発しました。





巡洋戦艦フッド




キングギョージ5世級戦艦 プリンス・オブ・ウェールズ




ここでビスマルクの前に立ちはだかった巡洋戦艦フッドは1920年の竣工時には世界最大の軍艦で、英国海軍の象徴とまで言われたイギリスの誇りだった軍艦だ。排水量は48400トン。ビスマルクと同級の38cm砲搭載。
一方、新型艦のプリンスオブウェールズは排水量が44400トンで36cm砲を搭載していた。
フッドもかなり巨大な軍艦ですが、キングジョージ五世級戦艦は新造戦艦にしてはかなり小型のほうじゃないですか?
そうです。この戦艦はロンドン条約の枠組みで建造されていますからね。
そのかわりコストパフォーマンスにとても優れた戦艦でもありました。であるからこそ短期間に5隻も建造できたんです。
乗員も1422名でかなり少なめです。
フッドとプリンスオブウェールズはビスマルクに向かって距離を詰めていきました。
ここでちょっと読者のかたがたに夾叉という用語を説明しておきましょう。夾叉(きょうさ)とは戦艦などの艦砲射撃において、目標を包み込むようにして複数の砲弾が着弾することをいいます。夾叉弾が得られた場合、射撃を繰り返せば命中弾は確率的なものとなります。










デンマーク海峡の戦い

 
戦艦ビスマルク


重巡洋艦プリンツ・オイゲン
  VS      
巡洋戦艦フッド


戦艦プリンス・オブ・ウェールズ



イギリス側、フッド搭乗のランスロット・ホランド中将がまず初めにとった戦略は、防御力に難のある巡洋戦艦を遠距離砲戦に巻き込まないために敵艦との距離を縮め、ドイツ艦の近距離に近づくまで砲火を開かないというものでした。
英2艦は戦闘を傍観している重巡ノーフォークとサフォーク、6隻の英随伴駆逐艦をおいて突入を開始します!
フッドとプリンスオブウェールズは、ビスマルクたちのほうへ向かって全速力で距離を縮めてきた。
軍艦同士の戦闘にあまり乗り気ではなかったビスマルク搭乗のリュッチェンス提督も、これによっていやがおうにもこの2艦と交戦しなければならないことを悟ったのだ。
そして距離にして2万3000メートルにさしかかったときです。フッドは重巡プリンツ・オイゲンに向かって前部砲塔で砲撃を開始しました。


プリンツ・オイゲンのそばに着弾するフッドの砲弾





プリンスオブウェールズもこれに倣おうとし、前部砲塔で砲撃を開始します。
・・・・しかし撃ち始めてすぐ、困った問題が発生します。
ウェールズの一番砲塔が射撃のショックで故障してしまったのです。
以後、ウェールズはドイツ艦に対して不利な戦いを強いられることになるのです・・・
一方、敵が砲撃してきたのにもかかわらず、リュッチェンス提督はなかなか反撃命令を出さなかったため、しびれを切らしたエルンスト・リンデマン艦長は2分後に砲撃命令を行い、ドイツ側も反撃を開始した!敵艦までの距離は20300メートル。





リンデマン艦長

リュッチェンス提督




砲撃を開始したビスマルク





すぐさま両陣営の戦闘隊形はウェールズはフッドの後に従い、オイゲンはビスマルクの陰に隠れるという、両者とも巨艦を全面に出すという形になり、ビスマルクとプリンツオイゲンの砲火はフッドに集中された。
そして砲撃開始後、1分もしないうちにドイツ重巡プリンツ・オイゲンの20cm砲弾がフッドのメインマストに命中!
それはフッドの副砲塔付近に火災を生じさせ、すぐに艦全体に広がった!
ビスマルクも負けてはいない。ビスマルクの放った砲弾は第三斉射目にしてフッドを夾叉!
そしてこの後にビスマルクの放った第五斉射目によって信じられない悲劇が・・・・・・・・
距離およそ17000メートル!目標敵巡洋戦艦!
フォイアーフラアアアアアアアイ!!




ビスマルク フッドに向けて発砲!












次の瞬間、ビスマルクの砲弾が高落下角でフッドに命中!天蓋を貫いた!!
そしてフッドの弾薬庫誘爆!同時に大爆発を起こし真っ二つに折れ、
数百メートルもの一大火柱を上げて轟沈したのだァァァァァアアアアアア!!





フッド爆沈! 手前はP.O.W



ナチスの戦艦は世界一ィィィィィィィィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ











・・・・・・
英国海軍の象徴とまで言われた・・・・・20年間世界最大の軍艦として英国民に愛された・・・・あのマイティ・フッドが今や最強戦艦ビスマルクによって天に沖するばかりの円錐状の黒煙を上げて、海の藻屑と成り果てたのだァァアアアア!
ああ・・・・あの屈辱的なベルサイユ条約を破棄してから早6年。英国海軍の象徴を1発で撃沈してやれたのはなんと喜ばしいことか。フッドのホランド中将以下乗員1500名のほとんどは即死し、生存者はたったの3名だった。このビスマルクの栄光の1ページを飾ってくれた戦没者には黙祷をささげよう!
まったくまぐれだまが当たった位で偉そうに・・・・・・・
まぐれ玉ではないぞオオオオオオオオ!ビスマルクの乗員の錬度はお世辞にも高いとは言えなかった!
それにもかかわらずビスマルクは第三斉射でフッドに夾叉弾を出し、第五斉射で命中させた!
恐るべき命中精度だァァッ!これはまさしくビスマルクの光学照準機が世界一である証拠なのだ!
ドイツの光学技術は世界一イイイイイイイイ!!
フフフ・・・しかし敵ながら実際見事だった。フッドの操艦術も。あの場で突進を繰り出したのは普通ならば正解だった。さすが長い歴史を持つ英国海軍と言ったところか。しかし!ドイツの科学力の前ではそんな伝統も無力だったというわけだ!
巡洋戦艦ってかなり防御力に問題があるんじゃないですか?
当たり所が悪かったとはいえ、5万トン近い戦艦が1発で撃沈なんてまれな事ですよ。
そうです。巡洋戦艦は防御力を犠牲にして速力に重点を置いた戦艦ですから、第一次大戦中、わが国自慢の巡洋戦艦クイーン・メリーがジェットランドで撃沈されたとき以来、各国はあまりこの艦種に乗り気ではなくなりました。フッドもビスマルクの登場と共に、防御力を大幅に改善する処置を施す予定でしたが、改造される前にビスマルクが大西洋に向かい始めてしまったために、こんな不本意な悲劇が発生してしまったというわけなんですよ。
フフフ・・・苦しい言い逃れを・・・・とにかく残る戦艦はプリンスオブウェールズただ一隻だけとなったわけだ。
フッドに後続していたウェールズはこの爆沈に度肝を抜かれましたが、バラバラになったフッドの破片が降りかかる中、歓声わき立つビスマルクを横目に元旗艦の残骸を回避しました。
ビスマルクとプリンツ・オイゲンはすぐさま次の目標に向けて射撃を再開した!
ここにおいてもビスマルクはその巨弾を14000メートル先のプリンスオブウェールズに向けて精確この上なく放ったのだ!
フォイヤァァァアアアア!!




ビスマルクP.O.Wに向けて発砲!






その結果一発の砲弾がウェールズの艦橋に命中ゥゥウウウウ!!司令部を破壊!!
そこにいたウェールズのブレイン達はたった2人を除いて全員が即死した!
ちなみにその奇跡的な生き残りの一人はウェールズの艦長だ!
さらにビスマルクはウェールズに向けて砲撃を繰り返した!




  







さらに3発の砲弾がウェールズに命中!艦尾水面下には穴があいた!そのほかにも重巡プリンツ・オイゲンの砲弾も3発が命中した!
このビスマルクによる11回にわたる斉射により、ウェールズは500トンの浸水が生じ、艦橋を破壊されたため、奇跡的に生きながらえた艦長は戦闘を断念!煙幕を展開して逃亡を図ったのだァァァァアアアアア!!!
逃亡ではありません退却です!
ただでさえ砲塔がいかれたウェールズにとって、これ以上の戦闘は明らかに不利ですから、戦略的後退をしたまでです。
そのときビスマルクは追撃しなかったんですか?
リンデマン艦長は追撃に乗り気で、手負いのウェールズの止めをさすことを主張したのだが、消極的なリュッチェンス提督が猛反対してそれはかなわなかったのだ。・・・・惜しいことをしたものだ。追いかけていればこの戦艦も撃沈は間違いなかったであろうに・・・・
この場合リュッチェンス提督の判断が正しいと言えるでしょう。
どういうこと?
うふふ・・・それはですね、ウェールズは戦列を去る前に主砲弾三発をビスマルクに命中させていたんですよ。
一発はビスマルクの前部舷側に浸水を起こし、二発目は右舷のモーターランチを破壊、三発目は左舷重油タンクに命中して二番缶に浸水を生じさせ、合計2000トンも海水を浸入させたんです。とてもウェールズの止めをさす余裕なんてなかったんですよ。
そんなものは大した傷ではない!
たしかにそのせいで速力は28ノットに下がり、艦が3度ほど傾いたが応急処置ですぐに回復したのだ!
乗員も5人が軽傷を負っただけだった!
ビスマルクが速力が回復するまでに実際は2時間も要したんです。
この戦闘で本当にすごかったのはウェールズの方ですよ。何ていったって砲塔に不具合を抱えていたにもかかわらず、振り切りざまに3発も命中させたんですからね。さすが大英帝国海軍といったところでしょうか。
うぬう・・・減らず口を・・・・やっぱり追いかけて撃沈してやればよかったのだ!
・・・・・まあ良い。なぜならプリンスオブウェールズはこの後、
ドイツに代わって極東の朋友の陸上機に撃沈される運命にあるからなッ!
フハハハハハッ!!枢軸同盟にプロージット!
全くなんて不運な艦なんでしょうね。プリンスオブウェールズは。
思えば竣工直前のダメコン要員不在の夜中に爆弾が命中するは、公試に出れば座礁するは、キャベツの砲弾が命中するは、モンキーの魚雷が当たるはでろくなことがないです。きっとクイーン・メリーにように呪われていたんですわ。
大体、軍艦の王者である戦艦を魚雷で撃沈するなんて、猿ども海のロマンを理解していない証拠ですわね。
いろいろ教えてあげたのは私たちの海軍ですが、きっと品性までは学べなかったんでしょうね。
ちょっとまてッ!!
お前等ティルピッツにあんなことしておいてそりゃないだろォォォ!!
ティルピッツってビスマルクの同型艦で、戦時中はノルウェーのフィヨルドからイギリス本国艦隊を威嚇していたんでしょう?






戦艦ティルピッツ




そうだ!そのティルピッツに、あろうことかジョンブルどもはブンカー破壊用グランドスラムの小型版、5.4トントールボーイ





トールボーイ


これを小型化したもの 







4発重爆から投下してティルピッツを爆砕したのだアアア!!
ひどすぎる!トールボーイは現代で言ったらバンカーバスターみたいなものじゃないか!
海のロマンをそんな爆弾で粉々にするなアアアアアアアアアアアアアア!!





4発ほど命中





ひっくり返ったティルピッツ。まるで死んだ魚のようである。







船底までメチャメチャ・・・・ものすごいことしますね。
ふん。フィヨルドのゴミ焼却処分しただけですよ。
うう・・・・なんて奴だ!
まあ、とにかくプリンスオブウェールズが東南アジアで撃沈されたのは本国が苦しい時期の事故なんですよ。
・・・・別にくやしくなんかありませんよ?
なぜならドイツとの大戦がひと段落してから、ウェールズの姉妹艦たちは日本本土を艦砲射撃して復讐は果たしましたから。
もうウェールズのことはどうでもいい!とにかくデンマーク海峡で起きたこの海戦はドイツ側の大勝利だった。
これにて世界一の戦艦であるビスマルクの紹介は終了だ。
終了じゃないです。これから英国海軍が総力を挙げた楽しい楽しい復讐劇の幕が上がり始めるところなんですから。














ビスマルク追撃戦



デンマーク海峡の海戦で大勝利を収めたビスマルクたち一行は、なおも大西洋を目指して西進していた。ここで、ビスマルクは引き返してプリンスオブウェールズの止めを刺した後、ノルウェーのトロントハイムに帰還いればよかったのだと多くの後世の人間が悔やむところではあるが、そのように主張するリンデマン艦長の意見にリュッチェンス提督は決して同意しようとはしなかった。彼はフランスのサンナゼールに帰還してビスマルクの修理をし、無傷のプリンツ・オイゲンはそのまま大西洋に出て通商破壊に従事すべきだと考えたのだ。
グリーンランドも先端部に近づいた8時ごろ、リュッチェンス提督は司令部に対して無線でライン演習作戦の中止を打電した!そして司令部から作戦中止の返信が届くと12時40分、2艦はフランスに向けて進路を変更したのだ。いまやビスマルクたちの任務はフランスへの帰還に完全に変わった。
その頃信じられないようなフッド沈没の報にロンドンは大きな衝撃にわきたっていました。激しい怒りに燃えたイギリス海軍総司令部は、ついに現有するあらゆる戦力をビスマルクの追撃に投入することを決定。船団を護衛していた本国艦隊の他の3隻の戦艦も、商船を放置して、高速でビスマルクの追撃に参加するよう命令を受けました。地中海艦隊に属する巡洋戦艦レナウンと空母アークロイヤルも応援に駆けつけます。イギリス艦隊はこの水域で次第にビスマルクの包囲網を狭めて行きました。
24日早朝、ドイツ側のリュッチェンス提督は、ある重大な決断を下した。陽動のために、プリンツ・オイゲンとビスマルクを別々にフランスへ向かわせようというのだ。イギリスの重巡洋艦サフォークとノーフォークはまだしつこくビスマルクたちを追跡していた。だんだんと先行きに不安が増す一方、プリンツ・オイゲンだけでも安全に、フランスへたどりつけるようにビスマルクを囮にしようとしたのだ。そして追撃してくるイギリス艦艇をビスマルクはU-ボート部隊の前におびき寄せ、自分も無事にフランスへ逃げおおせるという算段をドイツ側は立てたのだった。
作戦は実行に移された!午後6時30分、ビスマルクは、なおも後をつけてくる重巡サフォークに向けて威嚇のための砲撃を開始した。その隙にプリンツ・オイゲンをドサクサにまぎれて脱出させようというのだ。これは成功し、プリンツ・オイゲンはイギリスの追跡の目を逃れ、ビスマルクとは別行動で10日後にブレストに帰り着いている。
しかしまたここで大きな問題がビスマルクに発生してしまった。ビスマルクの燃料が少なくなってきたのだ。ビスマルクは燃料を節約するため、巡航速度を落とさざる終えなくなった上、フランスにたどり着くためには応援に駆けつけてくれるU-ボートとの合流地点まで寄り道できなくなってしまったのだ。
だんだんヤバくなってきましたね。
一方、このとき戦艦キングジョージ五世に搭乗し、急ぎ追撃に向かいつつあったトーヴェイ大将の心配事は、高速で行航するビスマルクが夜のとばりに紛れて逃亡に成功してしまう事でした。このままでは同速度のビスマルクに追いつくことは不可能です。そこでビスマルクの足を止めるためには機動空母からの航空攻撃が必要だったのです。





艦隊司令長官トーヴェイ大将







そこでビスマルク追撃戦の第一の刺客である新鋭空母ヴィクトリアスソードフィッシュ雷撃隊の出動です。
時は25日、夜の10時。イギリスの誇るソードフィッシュ雷撃機が大得意とする真暗闇の中での夜間攻撃です。






イラストリアス級空母 ヴィクトリアス




フェアリー ソードフィッシュ












ビスマルク追撃戦その1 ヴィクトリアス攻撃隊


戦艦ビスマルク
VS  ×9機
ソードフィッシュ雷撃機



ヴィクトリアスにはその辺にいた錬度不足の雷撃隊を急いで積載したんでしょ?そんな部隊で難しい夜間攻撃をしかけて大丈夫なんですか?
大丈夫ですよ。大英帝国のソードフィッシュは世界一ですから。
フッ・・・・・・ソードフィッシュは原始的な複葉機だろう?
イギリスはバトルオブブリテンのわが軍の猛攻でまともな航空機をすべて失ってしまったのかな?







フェアリー ソードフィッシュ
最高速度224km
エンジン750馬力 
武装 7.7mm機銃2 魚雷1or爆弾680kg
航続距離 1650km
最大重量 4196kg
上昇限度 3260m

ダグラス TBD
最高速度332km
エンジン900馬力
武装 7.62mm機銃2 魚雷1or爆弾451kg
航続距離 670km
最大重量 4624kg
上昇限度 6005m




中島 九七式艦攻
最高速度 370km
エンジン710馬力 
武装 7.7mm機銃1 魚雷1or爆弾900kg
航続距離 1090〜2260km
最大重量 3650kg
上昇限度 7400m






いいえ。私達イギリス人が複葉機を使い続けたのにはちゃんとしたわけがあります。それは今後の話の中でおのずと明らかになるでしょうが、とにかく技術的に成熟した複葉機に最新のレーダーや航法装置を搭載して運用するのが私達の流儀なんです。
フフフ・・・・まあがんばってみることだ。
この時、9機のソードフィッシュがヴィクトリアスを夜間発着します。ビスマルクとの距離は行動半径ほぼギリギリの1600キロでした。そしてビスマルクの追跡を続けていた巡洋艦ノーフォークの無線誘導に従い、2時間後にASVレーダーで目標を捕捉。ビスマルクに突入を開始しました!
この機影を捉えていたビスマルクは速度を27ノットに増速し、すぐさま迎撃のための対空砲火を撃ち始めた!
ご存知の通り、ドイツの対空砲は世界一だ。なんとこの時、ビスマルクはこちらへ向かってくるソードフィッシュに6キロ先の距離から機銃弾を命中させている!ビスマルクの乗員の錬度は最低だったこともお忘れなく!
敵航空機は合計7本の魚雷を放ってきた!しかしビスマルクはリンデマン艦長の巧みな操艦によって、6本の魚雷をかわすことに成功した!
つまり1発の魚雷がビスマルクに命中しました!場所はビスマルクのカタパルト下の船体です。18インチMK XIIの爆発の瞬間とともにビスマルクには水柱が上がりました。




魚雷命中時に上がった(と言われている)黒煙



そんな魚雷の命中などビスマルクの船体に何もダメージを与えることなどできなかった!・・・しかし、この魚雷の爆発によって、出航後初の死者が一人出てしまったのは残念なことだった。
魚雷が命中してなんともないっていうのも結構すごい事ですね・・・・某国の巨大戦艦なんて魚雷を1発受けただけで、船体を接合していた鋲が抜けた穴から3000トンも浸水しましたからね。同型艦も同様にして2000トン・・・・・・ドイツの基礎技術力の高さがうかがえます。
ところで、このときのソードフィッシュのパイロット達のほうが、よっぽどビスマルクの乗員より素人の集まりだったんですよ。なんせ昼間の着艦訓練すら十分やっていない人たちだったんですから。しかもこの後全機が無事に空母に帰ってきたばかりでなく、目が開けられないほどの豪雨が降りしきる中、着艦ビームが故障したのにもかかわらず、全機が無事に夜間の着艦に成功したんですよ?ちなみにこの時偵察に行った2機のフルマー戦闘機は帰ってきませんでしたが。どうです?ソードフィッシュの抜群の信頼性は。すごいでしょ。
すごいも何も、常識的に考えて複葉機にレーダーやロケット弾積んで運用するか?普通。
トミーは絶対頭がおかしい
し・・・失礼な・・・・複葉機のどこが悪いんですか?速度だって100kmぐらいしか違わないのに。
十分遅いだろ!
遅いといったって迎撃する側の戦闘機に比べれば、魚雷や爆弾抱えた雷撃機はみんな絶望的に遅いですよ。
それに速度がすごく速いドイツの戦闘機がソードフィッシュを攻撃しようとする場合、逆に速度差がありすぎて撃墜が困難な場合も多かったんです。ソードフィッシュを捕捉したメッサーシュミットやフォッケウルフは、まずフラップを全開にし、さらに脚を下ろした状態で失速ぎりぎりにまで減速してから、ヨタヨタと低速で動き回るソードフィッシュを攻撃するんですが、これがまた難しいんです。
た・・・たしかにソードフィッシュを追いかけているうちに失速しすぎて墜落したドイツ機があったような・・・・
それに最新の高角砲、機銃で攻撃しようにも、あまりの低速に見越し射撃を誤り中々当たらない上、機銃弾は命中しても突き抜けるだけ・・・・
最新の戦闘機や高射砲FCSの激戦の中で悠々と飛ぶ複葉機・・・・欧州情勢は複雑怪奇ですね。
しかし、確かにソードフィッシュに問題が全くなかったとは言い切れません。たとえば東洋が戦場の場合、日本機は超低速で、ドイツ機のように速度を落とすとすぐ墜落しそうになるわけではなく、旋回性能も複葉機に準じるぐらいあったので、ちょっと苦戦を強いられてしまったことがあったのも事実です。東アジアで日本軍がちょっぴり優勢だったのは、低性能機で低性能機を・・・・毒をもって毒を制すというやつが見事につぼにはまったからなんですよ。



話をもとに戻しましょう。このヴィクトリアス雷撃隊のめぼしい戦果はほとんどありませんでしたが、ここにきて追撃部隊にある一大事件が発生します。同日の午前三時を過ぎてまもなく、ビスマルクを追跡していた重巡サフォークはUボートの危険地帯に足を踏み入れたため、ジグザグ運動を取り始めたんですが・・・・・
リュッチェンス提督はこのチャンスを逃さなかったッ!ビスマルクは27ノットに増速!
舵をきり、円を描いて一回転することによって追跡者をまくことに成功したのだ!
そうです。英海軍はビスマルクを見失ってしまったんです。運の悪い事に、サフォークが搭載していたレーダーは余り性能の良いものではなく、探知距離が約20キロしかなかったことが災いしました。ついに袋のねずみになりかけたビスマルクは、再び行方不明になってしまったのです。包囲中のイギリス艦隊の乗員は失望と焦燥とに包まれました。
しかし、愚かなことにビスマルクのリュッチェンス提督は、このとき英艦艇を撒けたことに気づいておらず、本部に向かって長文の電報を送信してしまったため、これを傍受した英海軍はビスマルクのおおよその位置を把握することに成功しました。リュッチェンス提督がそのことに気づいたのは本部からの入れ違いにやってきた電報によってでしたが、そのときはもう遅すぎたのです。
その結果、ビスマルクと英艦隊との決戦は避けることができないと判断したリュッチェンス提督は、ビスマルクの乗員に向けて次のような艦内放送を流した。





リュッチェンス提督 ビスマルク艦内放送にて

戦艦ビスマルクの戦士諸君!君たちは大きな名声を得た!巡洋戦艦フッドの撃沈は、軍事的のみならず精神的な価値があったのだ。というのも、フッドはイギリス人の誇りであったからだ。現在敵は戦力を集中し、その矛先を我々に向けつつある。しかし私はきのうの午後、プリンツ・オイゲンを解き放つことに成功したため、彼は自分の商船にたいする戦いを全うすることができる。彼が目前の敵からうまく逃れることに成功した一方、先に負った傷のために、我々はフランスの港に向かうよう命令をうけた。敵は我々の進路上に集結しつつあり、戦闘は免れないだろう。ドイツは諸君とともにある。そして我々は銃身が焼きつくまで、砲弾を撃ち尽くすまで戦おう。我々戦士たちにとって今は勝利か死のどちらかなのだ。





このあとの午後4時23分、リュッチェンス提督に一通の個人的なメッセージが届いている。総統閣下からだった。『貴官の誕生日をお祝いする!』この日はリュッチェンス提督の誕生日でもあったのだ。
イギリス艦隊がビルマルクとコンタクトを断ってから丸一日が経過しました。英艦の一部は燃料不足が心配されだします。
しかし26日午前10時30分、一機のカタリナ哨戒飛行艇が10時間にも及ぶぶっ続けの偵察飛行のすえ、雲から顔を出すと400メートル先に目指す巨大戦艦が行航しているのを偶然発見します。カタリナの連絡によって、イギリス艦隊は再びビスマルクを捕捉することに成功しました。
この時、英主力部隊はビスマルクの北方130km余りの地点にいましたが、これでは高速なビスマルクに追いつくことはできません。ところで当時、地中海艦隊から駆けつけてきた空母アークロイヤルと巡洋戦艦レナウンがビスマルクの進行方向を航行中でした。距離は60km余りです。そこでアークロイヤルからビスマルクに向けてソードフィッシュ雷撃隊が出撃しました。




後半に続きます。





続く    

    

           



参考書籍・関連本など

巨大戦艦ビスマルク―独・英艦隊、最後の大海戦 ハヤカワ文庫NF
ブルカルト・フォン ミュレンハイム=レッヒベルク (著),
Baron Burkard von M¨ullenheim‐Rechberg (原著), 佐和 誠 (翻訳)
     

イギリス軍用機集―1931-1945図解 世界の軍用機史 10
野原 茂
変態航空機大国の全容



呪われた海―ドイツ海軍戦闘記録
カーユス ベッカー (著), Cajus Bekker (原著), 松谷 健二 (翻訳)
第二次大戦におけるドイツ海軍の通史

英国東洋艦隊マレー沖に全滅す 証言・昭和の戦争 リバイバル戦記コレクション
須藤 朔 (著)



戦艦―マレー沖海戦ハヤカワ・ノンフィクション
M.ミドルブルック (著), P.マーニー (著), 内藤 一郎 (翻訳)
いつも不運なプリンスオブウェールズが随伴したことに、
レパルスの乗組員の間には根拠もなく諦めムードが漂っていたそうです。




1/350 艦船シリーズ ビスマルク


1/700 ウォーターラインシリーズ プリンスオブウェールズ


1/48 傑作機シリーズ ソードフィッシュ Mk.I


1/700 ウォーターラインシリーズ フッド